「ケータイ捜査官7」#43 真の敵


【真の敵】

真の敵。それはブレイバーを作り出した三賢者の一人であり、その開発資金を援助したであろう政府の高官であり、もっといえば、ネットワーク社会の善意そのものであろうことが見えてくる。
現実世界においても明日未来においても無法地帯と化している電子社会を憂い、その管理の必要を叫ぶ意思そのもの。それを正義と呼ばせるためだけに、ゼロワンを泳がせてネット犯罪を誘発していた事も明らかになったので、こうなると、バディに恵まれず、意図的に自律制御系を外された所為でやさぐれたゼロワンとは一体なんだったのか。彼の怒りや苦しみは全てこれ、誰かの掌の上。おそらく滝本が死んだ事さえ。こんな残酷なことがあるだうか。そして網島ケイタもまた、そのステキな正義と明日の為に処分の決定が下されてしまう……。


【バディ殺し】

網島ケイタを殺さないでくれ、と、ゼロワンは懇願する。バディシステムという、バディありきの存在としての枷を背負う彼らは、どんなに自律しているように見えても、バディという相棒の存在から逃れられない。ゼロワンは多くの人間を品定めするように振る舞いながら、本当はただ探していただけだったのだ。自分を正しいことに使ってくれるバディを。そして彼は漸くめぐり合えたのだ。生まれてきた意味を、価値を見出せる人間に。
彼にとって網島ケイタは愛するバディなのだ。