「シナリオライター★松本マリコの課題」★★★

einfall2005-00-03



 荒筋。チラシとかないので主観です。


 ローカル局の人気ドラマ「横浜チェーンソー」最新作のシナリオを任された駆け出しライターのマリコ(松嶋尚美)。今日もいきつけのカフェでパソコンに向かい執筆に余念がない。ところがひょんな事で、そのパソコンが彼女の前に座っていた男のパソコンと入れ替わってしまう。パソコンの中には明日提出のドラマの原稿のデータが。慌てた彼女の元に入れ替わったパソコンの持ち主から電話が届き、彼女は原稿のデータを送信するよう頼む。

 翌日、届いた原稿をプロデューサーに見せると大絶賛。ところがその原稿は男によって手直しされた原稿だった。激怒するマリコ。男に連絡を取ろうとするも、殆どの時間電話は繋がらない。マリコの原稿の至らない点を淡々とツッコむ男に初めは反発しつつも、チャットで、電話で彼と話す内、マリコの脚本はよい方向へと転がりだす。

 いつしか脚本の事だけではなく、不安な時、寂しい時に男に連絡を取ろうとするマリコ。しかし、彼女からかける電話はいつも繋がらない……そしてまた、今日もいきつけのカフェでシナリオに取り組んでいると……思わぬ彼の正体と秘密を知った時、マリコの取った行動は!?


  以下ネタバレにならない程度に感想トカ。


 まあこの間違えたパソコンの持ち主がいわずもがなザンキさん(松田賢二)なわけです。ある理由でほぼ全編顔なし状態のザンキさん。しかしながら声の渋エロさで顔ナシをカバー。


 マリコザンキさんの関係が際立ってくるまでが正直かなり辛い。マリコが妄想癖の持ち主だとかで、冒頭から中盤にかけて展開する劇中劇(妄想)シーンが何度か挿入されるのですが、見事につまらない。このつまらないのが実は伏線だったりするわけですが、画的に本当につまらないんじゃ駄目じゃないでしょうか。

 
 あとマリコが付き合ってる友人が5,6人出てくるわけですが、区別がつきません(大河内奈々子はわかったけど)。この中のある友人が実は展開上重要な鍵を握ってたいるわけですが、終盤になるまでこの友人がマリコの友人だったって明かされないんですよ。そりゃわかんねぇよ!! 
 あとこの友人がビジュアル的にも画的にも特徴がないので(失礼)、マリコが真相に気がついた時、観客も気がつかなきゃいけないのに、亜姫は映画終わってから気がつきました。駄目じゃん。


 そんな感じで駄目な部分は駄目として、ザンキさんの正体と、抱えた秘密の謎解きに至る過程→マリコの行動はよかったと思いました。


 マリコのモノローグだけで語られるザンキさんの正体が実際正しいかどうかが明確には提示されないのがいいです。彼女の知った事実がきれぎれに、彼女のモノローグや台詞から観客に提示されて、トドメの一言によってザンキさんの正体と彼が直面した悲劇が浮かび上がる……これは良かった。

 普通だとマリコの謎解きをザンキさんが証明していく、みたいな展開になるところ、彼は自分の事は最後まで絶対に喋らない、というのが効いたわけです。というかマリコの推察まんまだと、多少つじつまあわない点もあるわけで……いやザンキさん、とても××だったとは思えないから。


 まあそんな感じで、そこそこカタルシスは得られる作品ではないかと。