「JIN 〜仁〜」で仁先生が体験した時間移動について大人げなく考えてみた

ドラマ



「JIN」最終回だったのですが、最終回で明らかにされた時間移動のギミックが、なんかよーわからんぜよ、という人のために大人げなく考えてみました。疑問点付き。注意点としては書いている本人がそんなにシンケンに視聴はしてなかったところです。

【全体の流れ】

→仁先生の体感時間と実際の時間の流れを図にするとこんな感じだと思います。
結論から先に述べれば、「仁先生はある時点で平行世界の過去に飛ばされ、その世界に平行世界の未来の知識をもたらしたのち、その世界の未来へ帰還し、その世界の自分を別の平行世界の過去に飛ばす、を無限に繰り返す存在」ということになると思うのですが……。

【Aの世界】
物語中の仁先生を基準に、彼のいた世界を「Aの世界」と定義する。物語でいうところの史実は我々の知る史実と同義の筈。顔が判別つかないほどに損傷した男を手術、胎児型脳腫瘍を摘出する。仁先生が過去に飛ばされた以降は、彼を過去に飛ばした存在が「南方仁」となったのか？　「南方仁」にとって重要な人物である中谷美紀は植物状態だったり、医療制度は崩壊していたり、ロクな世界じゃないと思うのだが…。

【Aダッシュの世界】
仁先生が飛ばされた世界。ペニシリンをAの世界より早く開発したり、ドーナツを量産したりした。死ぬはずの幕末関係者を多く救った為、仁先生の知る史実とはズレがある。
綾瀬はるかを救うためにAダッシュの世界の未来に辿り着くが、自身は過去に戻る手段を失う。中谷美紀は綾瀬はるかの孫として元気(のちに病気になって仁先生が執刀するところで物語は終わる)、医療制度は保険が充実したり、医者に優しい世界っぽい。
【この物語における時間移動能力】
過去への時間移動は平行世界への移動、未来への時間移動は同一世界間での移動。一定条件を満たして、高いところから落ちると発動する。

【歴史の絶対ココゆずれないポイント！】
坂本龍馬は幕末で死ぬ。
坂本龍馬が生きのびることは、時間軸に反逆する行為になるので、物語の後半になると彼が龍馬を救いたい、と思うだけでも頭痛になったり、ドえらい無茶ブリが生じたり、歴史の妨害電波が凄かった。

【歴史の修正力】
仁先生は自分が、本来死ぬはずだった多くの人たちを助けたことで生じる歴史の変動を恐れていたが、それはAの世界において死ぬはずだった人たちであり、Aダッシュの世界ではそもそも死ななかった人たちかもしれないし、前述のゆずれないポイントさえ死守できれば、それに関わらない人間の生死は修正に値しないのかもしれない。
むしろ歴史の修正力が働いたのは、仁先生が未来へ時間移動した後に発動したようで、翻って仁先生が過去へやってきてからの史実がなかったことになり、人々の記憶からは消えた。ただ仁先生がその時代の人と共同でやったことは、その時代の人たちが根性で開発したことになっていて、完全に仁先生の痕跡が消えたわけではない。また別の世界からもちこまれた物質はそのままであり、未来の十円玉を眺めていた綾瀬はるかが記憶を一部思い出すなど、修正パワーはかなり甘い。

【疑問１　仁先生はいつからループを繰り返しているの？】
これはもう卵が先かニワトリが先か、の問題で、いつ、どの時点から始まっているのかはこの世界の人間には判断できない。作中の理屈で行けば、物語中の仁先生がいたAの世界も、その世界の過去で奮闘した仁先生の影響を受けた社会の筈で、おそらくその時間移動の度に仁先生が未来に及ぼす影響や行う出来事は、毎度違うのだと思われる。

【疑問２　坂本龍馬はなんでそんな歴史の重要人物なの？】
話の都合。

【疑問３　中谷美紀は何故一人二役？】
血縁関係があったから。未来の中谷美紀は、過去の中谷美紀の子孫。過去の中谷美紀が出産前に死んだら当然未来の中谷美紀は消失してしまうが、そこが上記の説で言うところの歴史のゆずれないポイントなのかどうかは不明。

【疑問４　綾瀬はるかはどうして仁先生のことを覚えていたの？】
愛の奇跡、ということにしておかないと怒られる。但し綾瀬さんの愛を以っても、顔や名前は思い出すに至らず、いずれはその事も忘れてしまう事を察した彼女は長い手紙を残していた。その手紙は歴史の修正力も戦火も逃れ、仁先生に辿り着く。

【疑問５　未来へ移動した後の仁先生って…アレ？】
仁先生は、Aダッシュの世界で6年過ごして未来へ移動する。彼の肉体的には6年の時間が経過した状態で、未来の仁先生と入れ替わったら、皆とりあえず「仁、お前一晩でフケたなぁ…」という事にはならなかったのか？

【疑問６　未来で保険が充実したのはなんで？】
スポンサーに保険会社があるからぜよ。
原作にはない改編らしい。こういうのが大人の事情という奴の典型です。

【疑問７　仁先生はこれからどうするの？】
頑張って生きるんですよ。
すっかり忘れていたけど、ドラマが始まった当初の仁先生は生気失ってます状態だったので、なんちゃってSF設定はあくまでオマケ要素であり、彼が医者としてのノブレス・オブリージュを遂行することに覚醒すること、がこの物語の肝なんじゃないかと思いした。それがちょっと泣かせ演出にパワー入っちゃって、視聴者にはその本質が最後までわかりにくかったのが惜しいところだと思いますが、内野聖陽の坂本龍馬など、見るべきものは多いドラマだったと思います。

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