「ダークナイト」★★★★


「コレどんな映画なの?」
バットマンです」
バットマンなの? でもバットマンって書いてないよ?」
「でもバットマンなんです。タイトルはバットマンのあだ名らしいです」
バットマンがあだ名なんじゃないの?」
「……」

 以上、一緒に観賞した人と亜姫との事前の会話。全くさー、今まで「バットマンビギンズ」とか「バットマンVS何ちゃら」とかタイトルつけといて、「バットマン ダークナイト」じゃいけないのかよ! と見る前は思ったんですが、何故「ダークナイト(暗黒の守護者)」なのか、「バットマン」じゃないのか、終りまで見るとちゃんと意味があったという話。面白かったです。

 ご当人が死んじゃった所為も絶対あるけど、ヒース・レジャーがスゲェ。兎に角素顔がわからない(そこかよ!) パンフにくらい載せてあげてもいいだろうに、どこもかしこも汚らしい白塗り一辺倒のヒース。合掌。まあこの徹底ぶりが余計この映画のメインテーマを際立たせているわけですが。
 主役はジョーカーです。金にも欲にも動かない、「なぜ?」という問いかけに対する動機は徹底的にチンケで安っぽい想像の範囲内におさまり、悪者としての格闘技術はむしろ貧弱で、ただ人の心の仮面を剥ぐ事だけはもの凄く得意という彼が魅力的じゃなくてなんだというのでしょう。
 本来の主役バットマンは何をやっていたのかというと、前作同様ありあまるお金をつぎ込みつつ、最近のヒーローものに多い、ネガティブな思考迷路の中に落ち込んでいってしまいました。この思考迷路によくも悪くも「俺はこうだ! オマエがどう思ってようが俺はこうなんだ! 他は知るか!」というような答えを出して浮上できないのは世界も日本の特撮ヒーローも全く同じだと思いました。病んでるんだなぁ現代って。
 一応本作では答えらしいものをバットマンはひねり出してます。この誰かが何気なく放った一言が、めぐりめぐってバットマンからオチでもう1度繰り返される構成は前作も一緒なんですが好き。ただ前作よりは「あ、これ云うなー」というのがすぐわかっちゃった。惜しい。
 そんな現代感を反映したのか、前作の時は割とファンタスティックな造型だった気がするゴッサム・シティーが本作では凄くその辺のアメリカンな都市化でした。あとトゥー・フェィスの人どっかで見たな、と思ってたらつい先日テレビでやってた「ザ・コア」のアーロン・エッカートさんだった。そういうの狙って地上波やるんでしょうね……