「体育館ベイビー」★★☆


 中村優一さんが野郎に振り回される話です。それはもう可哀相なくらい振り回されてた。ガンバれちゃんなか! 君にはデネブがいるさ! 映画的には「ケータイ小説は旬が命」という企画の元、半年で90分尺の映画を作り上げさせられた監督の頑張りを時々感じました。ちゃんなかさんに思いを寄せる男子が2人いるんだけど、一方は直球ストレートでキモい、一方は遠回しに必死で切ないという匙加減もよかった。以下ネタバレな荒筋。



  • 冒頭、競泳のインターハイ予選でライバルに負けて2位に終わる中村優一(以下優一)。試合後、水中で失神して病院送り。コーチでもある父親(渡辺いっけい君!)は息子のあわや一大事にも何故かそっけない。
  • 優一は性格が悪いと後輩に評判が悪い。渡辺いっけいが教え子と体育館でヤって出来た「体育館ベイビー」と部内で陰口を叩かれている。タイトルにもなっているこの単語にはそんなに意味はない。
  • 優一が夜のプールで泳いでいると、ライバル・村井(高橋優太)は優一にコーチを頼む。「受験生だから」と言いつつ、村井の面倒をそれなりに見る優一。
  • 優一は幼馴染のクラスメイト・加藤(久保翔)と帰宅。途中で携帯電話を忘れたので学校に戻ると、夜のプールで村井が泳いでいた。村井は優一が傍にいてくれれば、インターハイで絶対負けないというが、若干ウザくなり帰る優一。
  • 優一が来てくれないのでインターハイに出ないと前夜にゴネる村井。いっけい君困る。しょうがないので優一出陣。夜のプールに行く。
  • 夜のプールで積まれた用具の上からプールサイドにいきなりダイブする村井。慌ててキャッチする優一。そんな優一にキスする村井。優一が硬直したのをいい事に首筋をまさぐる村井。村井!(笑う所)
  • 優一逃走。ごく普通の反応です。
  • インターハイ当日。優一は加藤と図書室で勉強。優一、加藤に村井にキスされた事を相談する。
  • 村井がインターハイから逃走。「どこへ行った?」「アメリカに行った」ってエエエエエエー!(大爆笑するところ)
  • 優一精密検査を受ける。クラスで席替え。担任は藤澤恵麻
  • 席替えの結果、優一はアメリカ逃走中の村井と隣席、加藤は長期入院中の「早川さん」(桐谷美鈴)と隣席に。早川さんと隣の席になると、プリント届けたり面倒見ないといけないらしい。意味がわからない。
  • 精密検査の結果、優一は難病が発覚、競泳選手生命を絶たれてしまう。病院に早川さんにプリントを届ける為に来ていた加藤に「死ぬかもしれない」と当り散らす優一。加藤は早川さんも難病で「一日に2人の級友から死ぬかもって言われた」と嘆く。優一の為に優一の傍にいると宣言する加藤。加藤! いい人だ!
  • 優一の難病は、死んだ母親と一緒の病気。いっけい君が優一に冷たいのはそのあたりに理由があるらしいという伏線。
  • 村井アメリカから帰国。隣の席なのでなれなれしく優一に絡むので加藤キレる。加藤、君の怒りは当然だ! 明らかに村井はキモくて痛いぞ!
  • 加藤が早川さんの見舞いに行ってる隙に、優一と帰宅する村井。「もうあんなこと(キスね)しない。求めないから、嫌わないでくれ」「柴原(優一のことです)と俺は孤独で似ている」「心が繋がっていれば、触れなくても……」と言いながら優一の手を握る村井。
  • 加藤、早川さんに恋愛相談。「今の関係が壊れないようにつとめる愛もある」とかなんとかアドバイスを受けている。つまりは加藤はそういうことなんだけど、村井の数百倍共感できるキャラにはなっている。村井のキモさはシーン毎にヒートアップしていくぜ。
  • 優一と村井、打ち解ける(何でなのかよくわからない)。
  • 優一と村井がチャリで2ケツして帰るのを目撃して焦る加藤。加藤は毎日優一の家に迎えに行くと宣言。次の日、玄関先から張り込んでいる加藤。
  • 加藤と優一が勉強していると藤澤恵麻が早川さんの死を伝える。「受験生だから葬儀参列は行かなくていいわ」、って、受験生にプリント運ばせといて何云うんじゃボケ! と劇場内の誰もが思ったと思います。
  • 加藤、村井を体育館倉庫に呼び出し。「優一に付きまとうな!」とキレる加藤に対する村井の返しがハンパなかった。「俺と柴原はヨリが戻ったんだ」「お前の想いを柴原は知らないが、俺の想いを芝原は知っている」「あいつを抱きしめられるのは俺だけだ」村井! もう死ぬかと思った(笑いすぎて)。
  • 村井や加藤が「想い」を口に出す時の演出が逆光で表情がよく見えない撮り方なんですね。ビジュアル映画であえてソレなのは、表情筋演技がメインが揃ってダメなのを隠す為だったのかもしれないけど、この演出が逆にホラーっぽくてよかった。特に村井の「怖さ」は最高。
  • 村井に口で負けた加藤、街を彷徨う。優一加藤を探す。
  • 村井、優一の家に上がりこむ。優一の部屋でいっけい君に「ここでマッサージしてください」と頼む。いっけい君拒否。
  • いっけい君に息子を嫌う理由を尋ねる村井。村井! 君は一体何様なんだ! そんな村井の何に打たれたのか、理由を語り始めるいっけい君。
  • 優一帰宅して自分の部屋のベットの上で語る村井といっけい君に激昂。
  • 優一家出。
  • 村井、優一を探すが見つからない。しょうがないので加藤に電話する村井。加藤、優一を探す。
  • 優一がプールに行くと、村井が既にいたので逃げる。
  • 加藤、優一を体育館倉庫で発見。据え膳です。だがそこは加藤なので、何もしない。
  • 優一、加藤と勉強を頑張る。
  • 優一、受験成功。
  • 優一、いっけい君と和解。
  • 卒業式、順々に卒業証書を受け取る。早川さんも卒業式に遺影で参加。そろそろ村井が何かやるなと、誰もが予測してる。
  • 村井、卒業証書が置かれた壇上に乗りだす。床に向かってダイブ。あわててキャッチする優一。
  • 「来てくれた」と優一にキスする村井。しかし、優一がキスしたのは早川さんの遺影! 間一髪、加藤が遺影を優一と村井の隙間に入れたのです! 遺影の新しい使い方を見ました……
  • 優一、「あったまきた! ついてこい!」と村井と加藤を引っ張ってプールへ。
  • 中村優一が歌うカルい主題歌でエンドロール。
  • エンドロール後、プール。競泳で村井に勝つ優一。優一に手を差し出す加藤、一応村井にも差し出す加藤。腕を掴んだ二人に水に落とされる加藤で〆。脱力。