「H2」#1


 以前、ドラマ版のセカチューを観ている時、「堤演出らしい堤作品で山田や田中幸太朗綾瀬はるか嬢を観たい」という感想を述べた記憶があるんですが、そーいう機会が思ったより早い、早すぎるくらいに早い段階でめぐってきたので、それだけが最期の望みでした。しかし亜姫は失念していたのです。堤作品はアタリもでかけりゃ、ハズレもでかいという事に! 
 個人的にはもう剛速球でハズレ。悲しいぐらいに明後日の方向にハズレです。


 ハズレとはいってもつまらない、というのとはちょっと違って、もうこの青春トカ努力トカ頑張れば夢はかなうトカ頑張ることに意味があるトカチームワークとか純愛トカ小ネタとか、既に堤幸彦ではない他の作り手がそれ以上のドラマを作ってしまった現状(一番最たる例は「木更津キャッツアイ」だと思う)において、彼は違う境地、あるいは切り口を目指さなければいけないのに、何故こんな後ろ向きに過去のヒット作品を引っ張り出して(引っ張り出したのは彼じゃないでしょうが)、かついつもの演出しかできないのでは、それは演出家として駄目なんじゃないのかなぁ、と。


 かように親類でもないのに堤の今後が心配な初回でしたが、出演者はどうかといえば、キャッチャー役にあだち作品では常識のデブを配さなかった時点で、今後どんな場でスタッフやキャストが原作リスペクト発言を繰り返そうとも説得力皆無。
 あと山田よりキャッチャー役の中尾明慶の方が背が高い事はちょっとしたショックでした。こういうのって、普通配役考える時に画面のバランス考えるんじゃないんですか。ちっちゃいのがわかっちゃうだろうが!! あっ、でも山田の役は「小さい」「子供っぽい」という外見と裏腹の強さを持っているという設定のキャラだからちっちゃいのはいいの? いや駄目でしょう。
 石原さとみ嬢のジャージ姿は問答無用に可愛かったのですが、マンガ的ボケキャラは、実写においては時にムカツく法則も発見。容赦のない転びっぷりは可愛かったです。


 ドラマ予算では死ぬほどチープであろう事が火を見るより明らかに予測できた野球のCG部分はやっぱりチープでした。しょうがないよ所詮ドラマだから、と諦めたいのに、何度も何度も白球のアップを「どうだ凄いだろ!」みたいに映すので、しまいにゃ辛くて泣けてきます。


 あと山田が野球をバカにしたサッカー部面々に愛想をつかして「あんな試合、野球の神サマに失礼だからさ」とかいうような事を述べてたんですが、このドラマそのものが野球の神サマにとってえらい失礼なんじゃないかという考えが、最終回までに解消されてればいいなぁと思います。思いたい。