苦情殺到の「仮面ライダーディケイド」「続きは映画で!?」の真相を直撃! という記事


http://www.cyzo.com/2009/12/post_3370.html


――単刀直入にうかがいます。ぶっちゃけ、最初からの仕込みですか?

白倉 あははは!! ド・ストレートですね(笑)。 本当は、そういうわけではないんですよね。BPOに寄せられた意見、読売の記事もそうですが、最終回にもかかわらず、敵と対戦している最中で終わってしまったので「物語の続きは映画で見てください!!」という意味に解釈されてしまっただけ。


いやあの終わり方に他にどんな解釈しろと?


――いや、そこが問題なのでは......。

白倉 BPOを通じて回答した通り、「テレビはテレビで終わっている」んです。その後に映画の告知をしたので、直結してそういう風に見えただけ。実は中途半端に終わっているのではなく、第一話に戻って終わっているだけなんです。告知を抜きにしてもらえば、円環構造を持ったシリーズとして完結しているんです。


これに限っていえば、ライダーシリーズ全体に通じていえることだと思うけど、終わってないよね? いつも終わってないよね? 


――なるほど。何だか落語の回りオチのようなテクニックですね。

白倉 第一話の冒頭シーンに戻って終わっているんですよ。「『ディケイド』ってこんな物語でしたよね」って。最初から第一話で「これがゴールですよ」と示していたシリーズなんです。だから、仕掛けがあるというのは、ある意味本当です。映画があろうとなかろうと、あの終わり方だったんです。たまたまテレビシリーズが大変好評を頂きまして、急きょお正月映画としてやりましょうという話になっただけで、最初から(映画に)誘導する意図はなかったんです。

――円環構造の手法が、たまたま「続きを映画館で」と誘導する形に上手くハマったということでしょうか?

白倉 「続きは映画で」って見てくれると、こちらとしてはありがたいじゃないですか。まさか、ここまで騒がれるとは思ってもみませんでした。これは『仮面ライダー』に対する深い愛情ですよね。


僕が最終回を見終わった時の率直な感想は「死ね!(スタッフ)」だったんですが、それも愛……だったのか! 気がつかなかったぜ!(誉めてない)

――「貧しい子どもたちは映画館に見に行けないじゃないか!!」という厳しい意見もありますね。


白倉 それはちょっとおかしな話で、「映画を、その後テレビでも放送して!」というなら分かります。しかし、どんな子どもたちにも続きを見せたい番組だと言ってくれていると受け取っています。本当にうれしい限りですね。


白倉Pのポジティブ精神を見習わなくてはいけないんじゃないかとさえ思えてくる。


――要は、今回のシリーズが分かりづらい作りだったということで......。

白倉 今はテレビも映画も、何も考えないで見ている人が多いから、分かりやすくないといけないんですよ。たとえば「泣ける映画」みたいに、万人が万人、漂白剤や薬のような明らかな効能を求める。実際泣けなくても、本当にいい映画はたくさんあるでしょう? それなのに、今は「悪の大魔王を倒しました。終わり」でなければ認められなくなっている。


まあ仮面ライダーの映画は、いい映画じゃない事の方が多いです。


――『水戸黄門』みたいですね(笑)。『仮面ライダー』シリーズも、今やそのくらい認知度が上がりましたね。このヒットとロングランの秘訣は何でしょうか? やはり手を替え品を替え、戦略的に緻密に計算されていたわけですか?

白倉 逆にそうせざるを得なかったんですよ。ヒットの法則なんてあればいいですよね。レンジャーシリーズみたいに「とりあえず5人の戦士がいて最後に大悪党を倒して終わり」的なものが、実は仮面ライダーシリーズにはないんですよ。

――たしかに。変わり者な主人公が多いですよね。超ヘタれや記憶喪失で「何で俺戦ってんの?」みたいなのもいる。

白倉 そもそも、"仮面"なのに変身!! って言っているからね(笑)。スッキリしないところから始まっていますよね。仮面ライダーって悪の組織・ショッカーから作られているんで。

――だから比較的複雑な設定もアリで、子どもたちだけでなく年配の方にも受け入れられるんでしょうね。白倉さんはプロデューサーとして、これから『仮面ライダー』をどのようにしていこうとお考えですか?

白倉 前述のレンジャーシリーズのように、見なくても大体どんなことをやっているのか想像が付くくらいに、作品として認知度を上げたいですね。『サザエさん』や『ドラえもん』って、見なくても大体わかるでしょ?

――国民的作品を目指す?

白倉 そうですね(笑)。そのくらいの作品にしたいです。


白倉Pは代表としてのライダースタッフの立場でもあるわけで、ライダー制作陣のこの姿勢に僕は三ヶ月前から完全に絶望してるんですが、映画は初日に観に行ってきます。會川昇作品の端くれとして、その屍を見届けなければ! 士君にはホント幸せになってもらいたいです。