「グラン・トリノ」★★★★★★(★5つ評価で)


老い先が短い、家族と上手く付き合えない、神を信じない、戦争の記憶にいまだに苦しむ老人は、ひょんなことで隣家の一族と交流し、親近感を覚える自分に驚愕する。かつてアメリカだった、今はアメリカである事を疑うほど寂れた街には、あらゆる人種が入り乱れ、お互いを見下しあい、傷つけあい、血が流れていて物騒だ。ふるきよきアメリカとその時代を生き抜いてきた自分(だけ)を信じて生きてきた老人は、ヘタレな隣家の少年に色々な「生きる」術を教え込むが、彼が本当に教えなければいけないことは、自らの生き様を全否定した悲劇の先に見出されてくる。

黒いも黄色いも白いもない、全ての人間の、どこまでもどこまでも他者に対して残酷になれる本質と、その残酷な本性を乗り越える可能性のカケラを見せてくれる映画。傑作。


→少年の姉、実質ヒロインの彼女は大後寿々花ちゃんに激似だと思う。彼女を襲う悲劇のシーンは淡々としているけれど相当ショッキングな描写なので、心臓の弱い方はご注意ください。僕は口から魂が抜けました(ショックで)。ほんの数分前までちょうキュートだったのにぃいいいいいいえええぇええええええええ!!!!?みたいな。