よしながふみ「大奥」②


4592143027大奥②
よしなが ふみ
白泉社 2006-11-29

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 1巻のヒキだった、「何故このような世界(大奥)になってしまったのか」が語られ始める男女逆転大奥絵巻の第2巻。

 時は寛永、「彼女」の為だけの生き物として、アイデンティティを徹底的に踏みにじられ、地獄の底に突き落とされながらも、生まれ持った真なる高貴さを越えて、遂に真実を悟る、公家出身の元僧侶の青年、初めて人として自分を扱ってくれた彼の為に仕え、彼の為に自らが汚れる事を厭わない少年、全ては社会の秩序と徳川の血を守るため、残酷な知略をめぐらす猛母・春日局、そしてこの世の王たる場に据えられてしまった1人の「少女」の悲劇……。
 いやもう頁を読みすすめるがほどに、少女にも容赦なくナタ振り下ろし! みたいな仕打ちがこれでもかと待っていたので、「ヒィイイやめたってー」と思いながら読んでたら最後の数ページの彼と彼女のやりとりに泣きそうになりました。コレは凄い。凄すぎる。「XXXHOLiC」のひまわりちゃんの秘密と並んで、今年読んだマンガ・ベスト衝撃大賞(自薦)はこのマンガです。ああ面白かった。早く続きが読みたいなぁ。

 1巻で出てきたジジイが2巻では……だったり、上記の少年を家光が「(名前は)玉栄? ならそちは”お玉”じゃ」という台詞に張られた今後の伏線にもドキドキです。お玉って、「玉の輿」の語源とかよく言われる(俗説)、あのお玉ですよね……。

 あと3代家光公の時代といえば、「シグルイ」もその時代だよ。話も作画の密度もまるで違うベクトル向いた両作ですが、ナタ振り落とし! みたいなショックを読者に与えられる筆力の点では一致してると思います。シグルイ」の方はショックが高じて笑わざるを得ない感じですけど。